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Thu

08

Jun.

 

望んでいたことのすべてが御代田にはありました

長野県の御代田町に移住し、NPO法人を立ち上げた主婦。御代田愛にあふれる地元への思いと、理想的な環境を手に入れた信州での暮らしについて伺いました。

神奈川県から長野県に移住した長谷川 紀子さん

PROFILE

長谷川 紀子さん
Noriko Hasegawa

神奈川県平塚市出身。1972年生まれ。長野県出身のご主人との結婚を機に移住。現在は、中学生のお嬢さん、小学生の息子さんと家族4人で御代田町西軽井沢に在住。佐久市内の小中学校にてパソコンの支援員をするかたわら、お子さんを通じて知りあった主婦らとともに、NPO法人信州御代田ハピネスプロジェクトを立ち上げ、活動中。

「えーっ、御代田って佐久の隣だったの!?」
同じ長野県民でもその程度の認識しかない。軽井沢や小諸など近隣の観光名所の陰で、いやが応にも印象が薄まってしまう御代田町……。
いやいやいやいや、ちょっと待って。
みんな知らないだけなのだ、ココがどれほど素晴らしい場所かということを。
御代田町への愛にあふれ、町の魅力をもっと多くの人に伝えたいと、仲間とともに活動しているひとがいる。同町に住む長谷川紀子さん。
彼女はごく普通の家庭の主婦である。
違うのは、町を応援するためにNPO法人を立ち上げたこと、そして地元とは全く無縁の都会からの移住者であることだ。
 

これも移住!?神奈川県から御代田町へ

「結婚がきっかけでこちらに住み始めたので、厳密には〝移住〝でないかもしれませんが」と前置きして話し始めてくれた長谷川紀子さん。彼女は一家の主婦であり、2人のお子さんのお母さん。パソコン支援員として佐久市内の6つの小中学校へ指導に通うかたわら、NPO法人信州御代田ハピネスプロジェクトの理事として、町の魅力や情報を県内外に発信するため、御代田町を支援するポータルサイト「Miyo-Town」(みよたうん)を運営。地元情報の取材、執筆、撮影、コーディング、そしてグッズの企画製作もこなす、なんともマルチな女性です。
 
 
そんな長谷川さんが、長野県に移住したのは19年前の26歳の時。学生時代からの知り合いである上田市出身のご主人と結婚。長野県に移住し、最初の2年間を小諸市のアパートで過ごしました。
 
「結婚に迷いはありませんでしたが、初めての地方暮らしに自分が馴染めるかどうかは少し不安でしたね」
 
当時は今ほどインターネットや交通網が発達していなかった時代。友人もいない、寒さや雪にも慣れていない。買い物は? 仕事は? 車の運転は……と不安にかられたこともあったとか。 
 
 
結婚当初は1日の大半を1人アパートで過ごしていましたが、半年ほど過ぎた頃、パソコンインストラクターの仕事の話が舞い込み、少しずつ働き出すことに。それと期を同じくして、趣味で中軽井沢の陶芸教室に通い始めましたが、そこでの出会いが長谷川さんの心境に大きな変化をもたらしました。
 
工房の名前はMOG陶房。通い始めてみると、陶芸の先生ご夫妻をはじめ生徒さんの多くが県外からの移住者、つまり自分の大先輩であることを知り、とても驚いたと言います。
 
「みなさん素敵な方ばかりで、ナチュラルな生き方にとても憧れたんです。ああ、自分もあんな風に自然体で生きられたらいいなあって。そう思えるようになったら、これまで感じていた寂しさがなくなったんです」
 
陶芸教室の先輩方から、新しい土地で新たな一歩を踏み出す勇気をもらった長谷川さん。これをきっかけに新たな人生が動き出すこととなります。
 

すべてが20分圏内の御代田

2年間のアパート暮らしを経て、長谷川さんは一軒家を建てることを決意します。多くの選択肢がある中、これからの人生を送る場所として長谷川さんが選んだのが御代田町でした。
「これまでの経験で、最も自分の肌に合っていたんです」
豊かな自然に囲まれたリゾート地ではあるけど、ハイシーズンも賑やかになりすぎず静かであること。新幹線や車など交通の便がよく、どこにでもスムーズにアクセスできること。2年間のアパート暮らしで、御代田という土地が持つアドバンテージを体感的に理解していた長谷川さん。
 
「実は『御代田は何でも20分以内』というのが私の持論なんです」
なるほど、言われてみれば確かに。
新幹線の通る軽井沢駅や佐久駅へ20分。アウトレットで知られる軽井沢プリンスショッピングプラザへも20分。先進医療を誇る佐久医療センターへも20分。豊かな自然、駅、学校、病院、スーパー……自分たちの暮らしに必要なことをすべてクリアしていた場所が、御代田だったというワケです。
 
「それに温泉はたくさんあるし、思い立ったら午後からでもアウトレットに出かけられる。なんならツッカケでスキーに行けちゃう(笑)。多方面にアクセスしやすい地の利が、御代田の素晴らしいところなんです」
都会にいれば、わざわざ時間と労力とお金をかけて行くような有名スポットが、日常生活のすぐ隣にある。これほど豊かな自然がありながら、生活に必要なものはすべて揃っている今の暮らしを、長谷川さんは「本当に贅沢だなあって思います」と嬉しそうに語ります。
 

3人の主婦、NPO法人を立ち上げる

長谷川さんが、NPOを立ち上げたのは約3年前のこと、同じ中学生の子を持つお母さん同志の何気ない会話がきっかけでした。
かねてから「もっと町の情報が知りたい」と思っていた長谷川さん。全国的に知名度が高く情報量も多い周辺町村に比べて、おとなしくて静かなイメージの御代田町。近隣住民にすら町の存在を忘れられていた事実に、愕然としたと言います。
お母さん同士の会話の中で、ほかの2人も同じ思いであることに気づき、顔を合わせる度に、町のために何かしたいという気持ちが膨れ上がっていきました。
「だったら、自分たちでやってみようか?」
と、まずはフェイスブックからスタート。そのうち、より幅広く活動をするには法人化が必要と判断し、NPO法人の設立へと小さな一歩を踏み出しました。
メンバーの確保や定款の作成など、設立までのハードルは決して低くはなかったもののそれらを一つずつクリアし、約半年の準備期間を経て、ようやくNPO法人信州御代田ハピネスプロジェクトが始動しました。
 

“暮らしたい 豊かな町だ ここ御代田”
—グリーンピースさん作

パソコンの支援員とNPOの活動。両立するのは難しくないのでしょうか?
「いいえ、NPOの活動は頑張りすぎないことがモットーなので、ゆる〜くやってます(笑)。力を入れすぎて途中で放り出してしまっては意味がありませんし、その方が格好悪いかなと思うんです。ゆっくりでいいから、本当に自分たちがしたいこと、人に伝えたいと思うことだけを、みんなで楽しみながらやっていこうと。仕事としてとか義務感でやっていないから続けられるのだと思います」
 
そのNPO活動の中で最も印象深かったのが「みよたかるた」のプロジェクトでした。
「みよたかるた」とは、御代田町をPRするためにつくられたオリジナルグッズ。御代田町の有名スポットや祭り、名産品など、地元にちなんだお題の句と絵札を対にしたものです。基になる句や絵柄のアイデアは、全国から公募したと言います。
昔の言い伝えを元にした御代田最大のイベント「龍神まつり」、日本一寒い行事とされる「寒の水」、町花のヤマユリ、名物おにかけうどんなどをテーマに、県内外から寄せられた句の数は、600にも上りました。
 
「自分たちだけで句を考えても限界がある。ならばいろいろな人の助けをいただこうと。結果、様々な人の視点から、御代田町を豊かな個性で多角的に切り取ることができました。同時に自分たちの見ているもの、知っていることだけが全てじゃないということも再認識させられました。他県の方から寄せられた句もあったりして、かるた作りを通して、人と人、地域の繋がりが一層広がったように思います」
 
構想2年、昨年2016年の12月に完成した「みよたかるた」。翌年明けの1月9日には、町の複合文化施設である「エコールみよた」にて完成記念の「かるたとり大会」も開催し、当日は100人もの人がかるた遊びに夢中になったそう。
「今の時代、子どもからお年寄りまで、年代の違う見ず知らずの人たちが、輪になって遊ぶなんてことはほとんどありません。みなさんの楽しそうな笑顔を見て、このNPOを立ち上げて本当に良かったなと心から思いました」
 
遊びを通すことで、幼いうちから自然に町の文化や歴史、風土について学べ、郷土愛が育まれる。かるたとり大会を開催すれば世代間の交流も生まれ、地元のPRにも貢献できるーー。「みよたかるた」は町興しのPRグッズとして、まさに一石二鳥、いや三鳥、四鳥にもなるグッドアイデアなのです。
 

1枚1枚に作者の名前が印刷されているのが「みよたかるた」の特徴。
大好評につき増刷・販売することが決定し、現在、注文を受け付け中とのこと。1個1500円(税込み)。「Miyo-Town」(みよたうん)のポータルサイトからのメールや、チラシなどでも注文は可能。今年7月にエコールみよたにて引き渡しされる予定です。
また「みよたかるた」の全作品をモチーフとしたポスターやクリアフォルダを作って、町の観光キャンペーングッズとして活用したり、小・中学生全員に配布したりするプランも現在進行中。残念ながら選定にもれた作品も年内にはすべてウエブ上で公開する予定だそう。

ベーカリーカフェ COCORADEさん

上:肉のKATAYAMAさん 下:スーパー TSURUYAさん

やさい直売所 小林農園さん

移住して「子育て」のしやすさを実感

御代田町歴17年の長谷川さんに、移住して良かったことを訊ねてみると、「ゆったりした環境の下で、子育てできたことです。都会ではアパートの中で走ったり飛んだりしてはダメとか、外出時も周囲の迷惑にならないように静かにしていなくてはダメとか、常に周囲に気を遣って必要以上に子どもを叱らなければならない場面がたくさんあって、それ自体が自分のストレスになってしまいます。でも子どもが元気に走り回るのは当然のことですよね? そんな当たり前のことを当たり前にさせてあげられたことが、子どもの成長にとっても、また自分自身にとっても何より大きな収穫でした」と振り返ります。
 
さらに、「いいものが安く手に入るのも、産地に近い地方ならではの魅力です。新鮮な野菜や果物の味は格別! 実家に産地直送の生鮮品を送ることも多いですね」。
お気に入りの店は、スーパーツルヤさん、ベーカリーカフェのCocoradeさん、肉とソーセージの名店・片山肉店さんなど。そして近くの産地直送の売店などにもしょっちゅう「出没」しているとか。
 
「ここクラスベッソ西軽井沢にも時々遊びに寄らせてもらうのですが、すごく居心地がよくて、ずっと住みたいくらい!(笑) 浅間山の絶景スポットも色々ありますが、個人的にはここの「かりん通り」から見る浅間山が一番きれいだなと思っているんです」
 

想像以上のしあわせが待っていた御代田町

地元の「御代田愛」にあふれる長谷川さん、今後の目標はどこに?
「NPOの活動を通じて、町に興味を持ってくださる人がもっと増えるといいですね。また子どもたちが、自分の故郷はこんなにすてきな町なんだと胸に刻んで愛着を持ってくれたら嬉しいですね」
 
また移住を考えている人に向けては、「移住前は「地方は不便」と決めつけていたけどむしろ今の方が便利です。働く場所さえあれば、地方の方が暮らしやすいと私は思います。都会に比べたら就職口は少ないかもしれませんが、ネット環境が整っている今なら、スキルを身につけてフリーランスで生計を立てるのも選択肢の1つではないでしょうか」。
 
実は子供時代にお母様から「あなたたちが結婚する頃は、簡単には家を買えない時代になっているかもしれないのよ」と言われたことがある長谷川さん。
「満員電車に揺られて会社に行って働いて、家に帰ったら子どもを叱って。そんな人生を送るのかな、大人ってつまらないな、って子供心に思ったものです。でも御代田に来て、あの頃想像していた以上にしあわせな未来を描くことができました。都会では叶わない暮らしを手に入れることができたんです。もう都会には戻れないですね」

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