「まるはび」とは、「Multi Habitation:マルチハビテーション」を短縮した造語です。
本来の語意は、大辞林によると「一つの世帯が複数の住居をもち、必要に応じて住み分けること。複数地域居住。」と本訳されています。
欧米の成熟した社会では、中流層の都市部居住者のライフスタイルのひとつとして定着しています。
21世紀のニッポンは、「まるはび」が生活文化として根付く「時代」の予感がします。
土地神話が崩壊した現在の日本において、「ふたつの我が家で暮らしを楽しむ」ライフスタイルは、一部の富裕層だけの「贅沢な別荘暮らし」ではありません。
最近流行している「田舎暮らし」に象徴されるような「都会と田舎」という対極的な「二住生活」の実践者には、平均的な年収のサラリーマン世帯の方々も少なくないという調査結果もあるようです。
2007年から本格化する「団塊世代の大量退職」に伴い、「ふたつの我が家」で人生を謳歌するシニア層も今後は増加の傾向にありそうです。シニア層の「まるはび需要」には、初孫のカオをいつでも見れる近所での「2世帯近居」、ご夫婦2人で悠々自適に海外・国内のリゾート等で過ごす「ロングステイ・長期滞在」等、「田舎暮らし」以外に「ふたつの我が家で暮らしを楽しむ」時代と世代の特長が見受けられます。
大量退職する「団塊世代」をターゲットに、人口が減少傾向にある地方自治体の「故郷U・I・Jターン促進」による人口誘致施策を最近よく見かけます。
故郷Uターンとは、文字通り、自らの生まれ故郷や出身地に還り住む事です。
ふるさと回帰指向や親世帯の高齢化に伴う同居等が主な理由となる事からも定住を前提とした移住が多いようです。
Jターンは、生まれ故郷と現居住地の二地域間に「第3の故郷」を見つけ、移住をするパターンで、マルチハビテーションを伴うことが少なくありません。
Iターンは、主に都市部出身者が「第2の故郷」として、地縁性の無い地方に移住するパターンで、今まで居住していた都市部の住居は子供世帯が利用して、自らは、趣味を楽しむ環境や故郷の原風景イメージなどに合致する地域を探し、ふたつの我が家を愉しむ「マルハビスト」達が多いようです。
また、Nターンという現象も見られるようです。Nターンとは、過去に転勤などで居住したことのある「第2の故郷」に、定年退職や再就職を機に戻り住むというパターンです。
移住先は、比較的、規模のある地方都市やその周辺地域となります。
海外旅行のリピーター利用者に多く見られた、その地で暮らしているように長期滞在を楽しむ「生活滞在型リピーター需要」は、最近、国内旅行でも増加しているようです。
国内での生活滞在ロングステイは、海外滞在に比べて非常に現実的かつ容易であり、広義でみると「マルチハビテーション」の一形態とも考えられます。
あるいは、マルチハビテーションの潜在需要層にとって、「実践へのプロセス」又は「候補地のトライアル」として位置づけられるのかもしれません。
第2の故郷を求めて全国行脚の「股旅」に始まり、お気に入りの場所が見つかったら生活体験をして納得の後に「まるはび」で締める。というオヤジ的な駄洒落はともかく「股旅」と「まるはび」は、良好な関係である事は確かです。